「DMI」について説明したいと思います。
「DMI」は、J.W.ワイルダー氏が考案したRSIの進化系ともなるテクニカル指標です。
DMIとは Directional Movement Index の略で、一般的に方向性指数と訳されています。
RSIに比べるとラインも多く難易度は高めですが、その分、相場状況をより適確に把握することができます。
RSIの欠点をカバーする目的で作られていますので、こちらの方を使いこなせるようになっておきたいものです。
DMIの特徴
DMIは下のサブチャートに表示されている、3本のラインのことです。
赤いラインが「+DI」と言って上昇の強さを示し、青いラインが「ーDI」と言って下降の強さを示しています。
そして、緑のラインが「ADX」といって、上昇か下降かに関わらずトレンドの強さを示しています。
相場が下降トレンドを見せている時には、-DIが上昇して+DIが下降し、それと同時にADXも上昇します。
トレンドの勢いが弱くなるとADXは低下をしていきます。
一方、相場に上昇トレンドが出てくると、+DIが上昇して-DIが下降し、それと同時に再びADXも上昇します。
+DI、-DI、ADXの動きの癖を覚えてみてください。
これら3つのラインの動きを見ながら、相場がどういう方向性を向いているのか、トレンドが出ているのかヨコヨコなのかといったことを判断するのがDMIというわけです。
DMIの計算式とその意味合い
DMIを構成する、+DI、-DI、ADXの計算式を紹介します。
+DI=(n日間の「+DM」の合計)÷(n日間の「TR」の合計)×100
-DI=(n日間「-DM」の合計)÷(n日間の「TR」の合計)×100
ADX=|「+DI」-「-DI」|÷(「+DI」+「-DI」 )
+DMというのは上昇幅、-DMというのは下降幅、TRというのは変動幅を意味します。
それぞれの具体的な計算式は以下のとおりです。
+DM=現在のローソク足の高値-直前のローソク足の高値(※1)
-DM=直前のローソク足の安値-現在のローソク足の安値(※2)
(※1)+DM<0または+DM<-DMのときは、+DMは0とする
(※2)-DM<0または-DM<+DMのときは、-DMは0とする TR=以下のA~Cのうち最大となるもの A:現在のローソク足の高値-現在のローソク足の安値
B:現在のローソク足の高値-直前のローソク足の終値
C:直前のローソク足の終値-現在のローソク足の安値
+DIが意味しているのは、n日間の分析期間における変動幅のうち上昇幅の割合です。分析期間における変動幅のうち上昇幅の割合です。そして、ADXは上昇の強さと下降の強さの差になります。
パラメータについて
DMIのパラメータは、+DMや-DMを集計する期間(n日間)です。
一般的には14が使われることが多いと思いますが、より敏感に反応させるためには9などにすることもあるようです。
どんなテクニカルにも共通することですが、分析期間を短くすればするほどダマシは多くなります。
20や30にすることで、中長期のトレンドを見ることが出来ます。
DMIを使った相場環境の認識
DMIの動きの癖を使って、相場環境の認識をすることができます。
+DIとADXが上昇する一方で-DIが低い水準にある場合は、上昇トレンドです。
-DIとADXが上昇する一方で+DIが低い水準にある場合は、下降トレンドです。
一方で、+DI、-DI、ADXが全て低い水準にある場合は、ヨコヨコとなります。
そして、上昇トレンド、下降トレンドに入る際には、+DIと-DIがクロスをします。
これがDMIの基本のサインとなります。
ただし、ヨコヨコの場合にもクロスは繰り返し発生しているので、ヨコヨコとトレンドを見極めるためにADXの上昇を見ることになります。つまり、ADXの上昇を伴わないクロスはサインではありません。
エントリーした後は、ADXの動きに注目します。
トレンドが強さを維持している間はADXは上昇を続けますが、勢いが弱くなってくるとADXは下降に転じます。
このADXの傾きでトレンドの限界を判断して、決済のタイミングを探ることができます。
DMIは、レンジ相場のときは、エントリーサイン(+DIと-DIの交差)がでても、エントリーしないほうが無難です。
そして、レンジ相場であるかどうかを見抜くために使われるのが、ADXとADXRです。
ADXとADXRが下向きのときは、レンジ相場になっていくことを示しています。
そして、ADXとADXRの数値が小さければ小さいほど、トレンドがないことを示します。
ADXもADXRも、25以下で、下向きであるならば、ほとんどトレンドがないと判断します。
DMIの売買タイミング
+DIが強い傾きで上がっているときはロングのエントリーサイン
-DIが強い傾きで上がっているときはショートのエントリーサイン
ゴールデンクロス、デッドクロスと、やや遅めに動くADXも合わせて考えると売買サインの信頼度が向上します。
レンジ相場のときはエントリーしない方が無難です。レンジ相場であるかどうかの判断はADXとADXRの向きと数値の大きさを見ます。また、+DIと-DIの傾きには常に気を配って下さい。
DMIの仕舞いタイミング
ADXがADXRを上抜いたらトレンドの開始、下抜いたらトレンドの終了です。
ADXがピークアウトしたとき(ADXとADXRのデッドクロス)手仕舞いのツールとして、+DIと-DIの差(DMIDifference,DMDIF)を用いることがあります。
DMDIFが30より大きな場合には調整やトレンドの転換の可能性を示します。
DMDIFは通常上昇より下落の値動きが早いことを考慮して、上昇には+30、下降には-40を用いることが多いようです。
まとめ
DMIは「前日の高値・安値」と「当日の高値・安値」をチャート化したものです。トレンドの有無と強さを見ることができる指標です。